【お悩みQ&A】あん作りで「渋切り」は本当に必要なのでしょうか?

あんこ作りについて、
よくいただくご質問のひとつが、こちらです。

「小豆の渋切りは、必ずしないといけませんか?」

レシピによっては、

  • 「渋切りをする」
  • 「何度かゆでこぼす」

と書かれていて、
正直よく分からないと感じる方も多いと思います。

今回は、
渋切りとは何か、なぜ行うのか、必要かどうか
分かりやすくお伝えします。


渋切りとは、どんな作業?

渋切りとは、
小豆をゆでて、出るゆで汁を捨てる作業のことです。

このときに捨てているのが、
小豆に含まれる 渋い成分(タンニン) です。


なぜ、渋切りをするのでしょうか?

理由は主に、次の2つです。


① 渋味を和らげるため

小豆には、
ポリフェノールの一種である タンニン が多く含まれています。

この成分が多く残っていると、
舌に残る渋さを感じやすくなります。

渋切りを行うことで、
やさしく、食べやすい味のあんに仕上がります。


② 砂糖の甘さをきれいに感じるため

渋味が残ったままだと、
砂糖を加えても、

  • 甘さが立ちにくい
  • 味が重たく感じる

といったことがあります。

渋切りをすると、
砂糖の甘さがすっと引き立ち、後味のよいあんになります。


渋切りをしないと、どうなる?

渋切りをしない場合、

  • 小豆の風味が強く出る
  • やや渋味のある、個性的な味

になります。

あえて渋切りを控えることもあります。


渋切りは「絶対」ではありません

和菓子店や基本のレシピでは、
多くの場合、渋切りを行います。

理由は、

  • 食べやすい
  • クセのない、きれいな味になる

からです。

ですが、
家庭で食べるあんであれば、

  • 渋味が少しあっても好き
  • 小豆の力強い味が好み

という方もいらっしゃいます。

あん作りに、
「必ずこうしなければならない」
という決まりはありません。


基本の渋切り方法(鍋ゆでの場合)

STEP① 小豆をゆで始める

小豆と水を鍋に入れ、火にかけます。
途中でびっくり水を加えながら、30~40分ほどかけ
小豆を吸水させます


STEP② 沸騰したら、ゆで汁を捨てる

小豆が充分に膨らみ、吸水したら、火を止め
ザルにあけて、ゆで汁を捨てます。

これが「渋切り」です。


STEP③ 新しい水で、再びゆでる

鍋に小豆を戻し、
新しい水を加えて、再びゆでます。

この後は
小豆が柔らかくなるまで、
ゆで進めます。


渋切りは何回すればいい?

一般的には、1回で十分です。

場合によっては(好みによっては)複数回行うこともあります

実際に渋切り無し(0回)、渋切り1回、渋切り5回で作り比べてみました

出来上がりを並べてみると、色が随分と異なります

左から渋切り0回、1回、5回

あんを作る前の生あんの状態でも、色の違いがはっきりとしています

左が渋切り5回、右が渋切り1回
渋切り0回の生あん

味を比べると

  • 渋切り0回→ワインのような芳醇な味。酒饅頭に合いそうです
  • 渋切り1回→味のバランスが良い。どんな和菓子にでも合いそうです
  • 渋切り5回→あっさりでみずみずしい味。見た目が薄紫色で美しく、求肥のような和菓子に合いそうです
出来上がったあん。点前が渋切り1回、向こう側が渋切り5回

圧力鍋の場合はどうする?

圧力鍋は、
短時間・密閉加熱のため、
渋切りがしにくい道具です。

そのため、

  • 渋味が苦手 → 鍋ゆで
  • 渋味が気にならない → 圧力鍋

という考え方がおすすめです。

(※ 圧力鍋については、別ページで詳しく解説しています)


まとめ

  • 渋切りは、小豆の渋味を和らげるための作業
  • 甘さをきれいに感じるために行う
  • 必ずしなければならない作業ではない
  • 家庭では、好みに合わせて調整してOK

あん作りで大切なのは、
**「正解」よりも「美味しいと感じる味」**です。

ぜひ、ご自身の好みに合ったあん作りを楽しんでくださいね。