皆さまから寄せられた和菓子作りに関するご質問に、お答えしています。
今回は、こしあん・つぶあん作りでよく聞かれるこちらの疑問です。
小豆は、なぜ浸水させずにすぐにゆでるの?
豆といえば、乾燥状態から水に浸けて戻すのが基本ですよね。
大豆や金時豆、花豆など、数時間〜一晩水に浸けてからゆでるのが一般的です。
でも、小豆は違います。水に浸けず、いきなりゆでるのが特徴です。
その理由には、2つのポイントがあります。
理由①:小豆は皮が硬く、浸水ではなかなか吸水しない
小豆の特徴は、皮が硬いこと。他の豆と比べても吸水しにくく、水に浸けてもなかなかふくらみません。
では、小豆はどこから水を吸うのでしょう?
実は、小豆は白い“へそ”の部分から水を吸います。皮からではなく、ほんの一部からしか吸水できないため、浸水だけではなかなか中まで水が入りません

吸水実験をしてみました!
実際に、小豆を含めた4種類の豆を水に浸け、吸水の様子を24時間観察してみました。
- 青大豆
- 小豆
- 大納言小豆
- 手亡豆(白あんに使う白いんげん豆)
スタート

STEP
10分後
- 青大豆が早くも吸水を開始。皮にうっすらシワが出始めます
- 手亡豆も吸水の兆しあり
- 小豆と大納言は…まだ変化なし

3時間後
- 大豆はかなりふくらみました
- 手亡豆も順調に吸水中
- 小豆と大納言は、ほとんど変化が見られません

6時間後
- 大豆と手亡豆は、ほぼ吸水完了
- 小豆はようやく、皮の一部にシワが出始めました
- 大納言は依然として変化なし

12時間後
- 小豆はようやく吸水が進みましたが、まだ皮にシワが残る状態
- 大納言はまだ時間がかかりそうです

18時間後
- 小豆はようやく吸水完了。皮のシワも無くなりました
- 大納言は、もう少し時間が必要です

22時間後
- ようやく大納言も吸水完了。ここまでにほぼ1日かかりました。
しかも水の色がやや黄色くなり、大納言から色が出ているようです

吸水にかかる時間の目安(今回の実験結果)
豆の種類 | 吸水完了までの目安時間 |
---|---|
青大豆 | 約6〜12時間 |
手亡豆 | 約6〜12時間 |
小豆 | 約18時間 |
大納言小豆 | 約22時間 |
※吸水時間は豆の品種や収穫時期によって変わることがあります
理由②:小豆はゆでるとすぐに吸水を始めるから
小豆の内部はでんぷんが多く、水に浸さなくても、加熱するとすぐに吸水を始めます。
水に浸して何時間も待つより、鍋に水と一緒に入れて火にかければ、30〜40分ほどで十分に吸水できるのです。
つまり小豆は、「今からあんを作ろう!」と思い立ってから、すぐに調理できる、ありがたい豆なんです。このスピード感、嬉しいですよね。

まとめ
小豆が浸水不要な理由は2つ:
- 皮が硬く、浸水しても吸水しにくい
- 加熱すれば短時間でしっかり吸水できる
そのため、小豆は水に漬けずに、そのままゆで始めます。
皆さまのあん作りにお役立ていただけたら嬉しいです。