砂糖の味の勉強会を開催しました

7月は暑いので、和菓子作りは少々お休みし、代わりに座学や食べ比べ講座などを開催しています

先週末に開催したのが「砂糖の味を知る会」


和菓子作りに欠かせない砂糖、皆さまはどんな砂糖をお使いですか?

上白糖やグラニュー糖、きび砂糖、てんさい糖など、、、私は上白糖を主に使っています。

どうしてその砂糖を使うようになったのか?

・元から使っていたから(→私はコレ)

・体に良さそうだから

・レシピに書かれているから

などなど

理由として意外に少ないのが、砂糖の味や美味しさで選ぶこと。

「あの砂糖はとても美味しいから、使っています」という方、中にはいらっしゃると思いますが、どちらかと言えば少数派

味よりも、甘さの強弱や身体への影響を主に選ぶこと方が多いかと。

しかし、砂糖はそれぞれに味があり、水分加減も異なり、特にお菓子は砂糖を多く使うので、味を左右します。

だからこそ、

塩や醤油、味噌のように、味を食べ比べて砂糖を選んでみてはどうか?

と思い、今回の講座を開催したのでした。

ご参加いただきました皆様、ありがとうございました


◎今回、ご用意した砂糖

 

11種類の砂糖を揃えました

■分蜜糖:上白糖、グラニュー糖、白ザラ糖

■含蜜糖:黒糖、きび砂糖(素焚糖/洗双糖)、和三盆糖、白下糖、てんさい糖

■その他:メープルシュガー、ココナッツシュガー

上白糖:和食・和菓子におなじみ。しっとり感抜群!甘さやや強め
グラニュー糖:お菓子作りにおなじみ。純度が高く、すっきり甘さ
白ザラ糖:結晶が大きく、さらに純度高い砂糖。すっきり美味しい
黒糖:波照間島産。コクがあり美味しい
素焚糖:きび糖の一つ。奄美大島産。まろやかな美味しさで何でも合いそう
洗双糖:きび糖の一つ。種子島産。不純物を2回取り除くのが名前の由来。今回は味見のみ
和三盆糖:香川さぬきの和三盆。抜群の口溶けの良さ。美味しい
白下糖:和三盆作りの途中工程で出来る砂糖。濃い!こっくりとした味わい
てんさい糖:てん菜が原料の砂糖。少し匂いがあり、サトウキビとは異なる味
ココナッツシュガー:ココナッツ原料。味は独特、乾燥ココナッツとは異なる味
メープルシュガー:メープル原料、メープルシロップの味

◎ここでちょっと砂糖の基礎知識

1.砂糖の原材料

砂糖は主に4種類の原材料から作られています

・サトウキビ

・てん菜(砂糖大根)

・ココナッツ(サトウヤシ)

・メープル(サトウカエデ)

(日本はサトウキビとてん菜が多いです)

各々、ふんだんに甘い汁(糖汁)を含む植物。

その糖汁を絞り出し、煮詰め、結晶化させ、精製等の工程を経て、砂糖が出来上がります

2.砂糖の分類

砂糖は大きく分けて2種類、「含蜜糖」「分蜜糖」があります

含蜜糖は、糖蜜を含むもの(いわゆる茶色い砂糖)

分蜜糖は、糖蜜から不純物を取り除き、精製したもの(いわゆる白い砂糖)です。

例えると、含蜜糖が玄米、分蜜糖が白米のような感じでしょうか。

含蜜糖に分類されるものは、

黒糖やきび砂糖、赤糖、和三盆糖、てんさい糖など

分蜜糖は

上白糖やグラニュー糖、白ザラ糖、中ザラ糖、三温糖、角砂糖、氷砂糖、粉糖など

ちなみに

中ザラ糖や三温糖の色が茶色いのは、砂糖を作った後に(中ザラは白ザラ、三温糖は上白糖)、残った糖蜜をさらに煮詰めて作るので、茶色くなるそうです。

3.ご参考)時々いただく砂糖のご質問

教室のレッスンで時折ご質問いただく砂糖の質問、調べてみました。

①上白糖とグラニュー糖の違いは?

グラニュー糖はショ糖の結晶ですが、上白糖はショ糖に転化糖を加えています。

そのため、上白糖はしっとり質感があり、さらに甘さがやや強くなります

②黒糖ときび砂糖の違いは?

黒糖はサトウキビの糖汁を煮詰め、結晶化したもの

きび砂糖はサトウキビの糖汁を煮詰め、原料糖を作り、そこからやや不純物を取り除いたもの

要するに、きび砂糖の方がミネラル分が少ないです

③和三盆糖は何から出来ているのか?

主に竹糖(ちくとう:サトウキビの一種)から作られます

糖汁を煮詰め白下糖(しろしたとう。黒糖のようなもの)を作り、蜜抜きと研ぎを3~5回繰り返し、結晶化させ、ふるいにかけて出来上がり


◎砂糖を食べ比べてみると…

11種類の砂糖を少量ずつ味見してみました。

皆さまの感想は・・・

味の感じ方も個々に異なったので、集約は難しいのですが

・含蜜糖の方が、それぞれに砂糖の味を感じられる(酸味や苦味、うま味など)

・砂糖それぞれに匂いがある(私も今まで気づきませんでした)

・白下糖の味が濃い!

などなど


◎さらにあんを食べ比べてみると…

各砂糖の練りあんを作り、食べ比べしてみました

(練りあんはさらしあんと水と砂糖を混ぜ、加熱すると出来上がります)

あんもそれぞれに味わいが生まれ、

含蜜糖はどれも砂糖の味が舌に残り、

分蜜糖は砂糖よりも、小豆の味を感じました

 

 


◎結論

食べ比べてみた結果、

砂糖の味や甘さ、匂いの違いに驚き、

作るものによって使い分けると、より砂糖の良さが活かせるだろうなと思いました。

例えば、

・メープルシュガーは焼き菓子に合いそう(私は肉じゃがなどの煮物にも合いそうと思います)

・ココナッツシュガーは、カルパッチョやサラダに合いそう(これも私見)

・カステラ、どら焼き、焼きまんじゅう系はどの含蜜糖も合いそう

・蒸しまんじゅうなども、含蜜糖を入れると、香りが立ち、美味しそう

・あんは、小豆の味を活かしたいなら、分蜜糖を使うのが妥当

・分蜜糖は含蜜糖よりもしっとり感あり。あんやもちなどしっとり感を求めるなら、分蜜糖を使う

・和三盆糖は味に主張があるけれど、あんに入れるとその主張がフッと消え、小豆の味が活きる。そして上品でとても美味しい

など。

とにかく、砂糖も1種類だけでなく、いろいろ使ってみると、お菓子作りもさらに楽しくなること間違いなしですよー。

ぜひ、いろいろ試してみてください!お菓子も料理も楽しい実験です