あん、和菓子作りに欠かせない砂糖。砂糖も種類や味はさまざま。どんな砂糖を使ってあんを作ると美味しいのか、皆さまと一緒に比較検討してみました。題して、砂糖とあんの味比べ勉強会です
和菓子作りに欠かせない砂糖、皆さまはどんな砂糖をお使いですか?
上白糖やグラニュー糖、きび砂糖、てんさい糖など、、、私は上白糖を主に使っています。
どうしてその砂糖を使うようになったのでしょうか?
- 元から使っていたから(→私はコレ)
- 体に良さそうだから
- レシピに書かれているから
などありますね。
日頃から疑問に思っていたのが、味や美味しさで砂糖を選ぶ機会が少ないこと。
「あの砂糖は味がとても美味しいから、使っています」というのはあまり聞きません。むしろ味ではなく、甘さの強弱や身体への影響を元に選ぶ方が多いかと。
しかし、砂糖はそれぞれに味があり、水分加減も異なり、特にお菓子は砂糖を多く使うので、味を左右します。
だからこそ、塩や醤油、味噌のように、味を食べ比べて砂糖を選んでみてはどうか?と思い、勉強会を開催したのでした。
今回、用意した砂糖は11種類
分蜜糖から3種類、含蜜糖から6種類、その他2種類の合計11種類です。
■分蜜糖:上白糖、グラニュー糖、白ザラ糖
■含蜜糖:黒糖、きび砂糖(素焚糖/洗双糖)、和三盆糖、白下糖、てんさい糖
■その他:メープルシュガー、ココナッツシュガー
砂糖の基礎知識砂糖の基礎知識
1.砂糖の原材料は?
砂糖は主に4種類の植物が原材料です。
- サトウキビ
- てん菜(砂糖大根)
- ココナッツ(サトウヤシ)
- メープル(サトウカエデ)
4種類の植物には沢山の甘い汁(糖汁)が含まれており、その汁を絞り出し、煮詰め、結晶化させて、精製の工程を経て、砂糖が出来上がります。日本はサトウキビとてん菜を原料とした砂糖がほとんどです。
2.砂糖の分類
砂糖には大きく分けて2種類、「含蜜糖」と「分蜜糖」があります。
含蜜糖は糖蜜を含む砂糖(いわゆる茶色い砂糖)
分蜜糖は糖蜜から不純物を取り除き、精製した砂糖(いわゆる白い砂糖)
例えると含蜜糖が玄米、分蜜糖が白米のような感じでしょうか。
含蜜糖に分類されるのが、黒糖、きび砂糖、赤糖、和三盆糖、てんさい糖など
分蜜糖は上白糖やグラニュー糖、白ザラ糖、中ザラ糖、三温糖、角砂糖、氷砂糖、粉糖など
分蜜糖の中ザラ糖や三温糖が茶色なのは、砂糖を作った後に(中ザラは白ザラ、三温糖は上白糖)、残った糖蜜をさらに煮詰めて作るため、茶色くなるそうです。
3.砂糖についてよくいただくご質問
上白糖とグラニュー糖の違いは何ですか?
グラニュー糖はショ糖の結晶ですが、上白糖はショ糖に転化糖を加えています。そのため、上白糖はしっとり質感で甘さがやや強くなります
黒糖ときび砂糖の違いは何ですか?
黒糖はサトウキビの糖汁を煮詰め、結晶化したもの。きび砂糖はサトウキビの糖汁を煮詰め、原料糖を作り、そこから不純物を取り除いたものです
きび砂糖の方が不純物を取り除かれているので、ミネラル分も少なくなります
和三盆糖はどうやって作られているのですか?
和三盆は昔から主に竹糖(ちくとう:サトウキビの一種)から作られています。
作り方は竹糖の糖汁を煮詰め、白下糖(しろしたとう。黒糖のようなもの)を作り、蜜抜きと研ぎを3~5回繰り返し、結晶化させ、ふるいにかけて出来上がります。
11種類の砂糖とあんを食べ比べてみると
10種類の砂糖を少量で味見してみました。
砂糖の味比べ、皆さまの感想は・・・
- 含蜜糖の方が、それぞれに砂糖の味を感じられる(酸味や苦味、うま味など)
- 砂糖それぞれに匂いがある(私も今まで気づきませんでした)
- 白下糖の味が一番濃い
など
11種類の砂糖で練りあんを作り、味比べしました。
(練りあんはさらしあん、水、砂糖を混ぜ、加熱すると出来上がります)
皆さまの感想は・・・
- 砂糖によってあんの味は大きく変わる
- 含蜜糖はどれも砂糖の味が舌に残り、分蜜糖は砂糖よりも小豆の味を感じる
- 和三盆糖は味に主張があるけれど、あんに入れるとそれが消え、小豆の味が活きる。そして上品でとても美味しい
- 分蜜糖は含蜜糖よりもしっとり感あり。あんやもちなどしっとり感を求めるなら、分蜜糖がいい
など
どの砂糖を使ってもあんはそれぞれに美味しく、それぞれに合う使い方があるなあと思いました。
砂糖も料理やお菓子によって使い分けが出来るといいですね。