全国から和菓子を取り寄せ、みなさんと一緒に食べて学んで楽しむ会の第3・4弾。
11月は「長崎・平戸のお菓子」と「シュガーロードのお菓子」をご紹介しました。
平戸は昔からお菓子作りが盛んでした
長崎・平戸はかつての海外貿易の中心地。ポルトガルや中国から砂糖が運ばれ、菓子文化も伝来しました。
そのため、平戸では昔からカステラなどの南蛮菓子作りが行われていたのです。
その後、江戸時代の鎖国と共に貿易の窓口は長崎・出島へ。しかしその後も平戸ではお菓子が作られ続け、その背景にはお茶文化が盛んだったことがあります。
藩主「松浦家」は茶道の一派(鎮信流)を確立したほど。江戸後期には、10代藩主がお菓子の図鑑「百菓之図」を編纂し、平戸に伝わったお菓子100種類を紹介。
藩をあげて、菓子文化を大事にしていたようです。
今回お取り寄せした平戸のお菓子
蔦屋さん・カスドース
カステラを卵黄につけ、糖蜜にくぐらせ、揚げて、砂糖をまぶしたもの。ポルトガル伝来のお菓子です。
「かなり甘いのでは・・・」と心配になりますが、実際に甘いですが、とても美味しいです。
蔦屋さんの創業は1502年。平戸のお菓子作りの歴史を作ってきたお店。
蔦屋さんのお菓子はカスドースだけでなく、カステラや牛蒡餅、烏羽玉など数々の平戸銘菓があります。
楠製菓さん・花かすていら
花の形をしたカステラ菓子で、中にはこしあん入りです。
花かすていらは松浦藩のお菓子の図鑑「百菓之図」にも掲載されていました。
生地のふわふわ感がとても美味しいです
菓子処津乃上さんの牛蒡餅(ごぼうもち)
名前の由来はごぼうに似ているからだそうで、白と黒糖入りの2種類ある餅菓子です。
百菓之図にも掲載されていたお菓子で、当時は山椒餅の名前で紹介されていたそうです。
合わせて、カステラと平戸城最中もお取り寄せしました
番外編・かんころ餅
平戸の銘菓ではありませんが、長崎と言えばコレ。五島列島の郷土菓子「かんころ餅」もご紹介しました。
かんころは干いも(さつまいも)のこと。餅に干いもを混ぜて作られています。
甘さ控えめで素朴な美味しさ。温めたり、焼いたりしても美味しく食べられそうです。
シュガーロードとは?
江戸時代に長崎から小倉に至る長崎街道のこと。
長崎・出島に運ばれた砂糖が長崎街道を通り、全国へ。そのため、長崎街道は別名「シュガーロード」と呼ばれるように。
実際には、砂糖は船で大阪・江戸へ運ばれていたそうですが、シュガーロード沿いの宿場町では砂糖が比較的容易に入手できたため、菓子作りが行われるようになり、現在の長崎・佐賀・福岡の各銘菓が誕生しました。
例えば、長崎・諫早では諫早おこし、佐賀・小城では小城羊羹、佐賀は丸ぼうろ、筑豊・飯塚ではひよこや千鳥まんじゅうなどなど。おなじみのお菓子ですね
今回お取り寄せしたお菓子
6種類のお菓子をお取り寄せしました。
長崎・諫早|森長さんの森長おこし
諫早湾の干拓により、昔から稲作が盛んだった諫早。
シュガーロードの砂糖と結びつき、おこしが生まれました。
1793年創業の森長さんで作られています。
おこしの中には生の黒糖入り。米の味わいの中に、黒糖がアクセントになります。
佐賀|村岡屋さんの小城羊羹・佐賀錦・丸ぼうろ
佐賀を代表する菓子を3種類お取り寄せしました。
●小城羊羹
江戸後期に佐賀・小城で作られるようになりました。
特徴は、羊羹の表面に出来る砂糖の結晶。羊羹と一緒に食べる”シャリシャリ”な結晶がとっても美味しいのです。小城羊羹には結晶が無ければ物足りない・・・ほど。
羊羹は村岡総本店さんをはじめ、いくつかのお店で作られていますが、今回は村岡屋さんの小城羊羹をお取り寄せしました。
●さが錦
さが錦は浮島をバームクーヘンで挟んだ贅沢な一品。
名前の佐賀錦は、佐賀・鍋島藩に伝わる伝統的な織物に由来しているそうです。
名前の通り、シルクのようなしっとり滑らか食感の浮島生地とバームクーヘンがとても美味しいです。
●丸ぼうろ
佐賀と言えば、丸ぼうろ。南蛮菓子の一つ。
素朴な味わいに、噛めば噛むほど美味しさが深まります。
福岡|千鳥屋さんの千鳥まんじゅう・チロリアン
福岡・筑豊の飯塚の銘菓です。昔、飯塚の炭鉱労働者が労働後に甘いものを求めたことから、ひよこや千鳥まんじゅうなどお馴染みのお菓子が生まれました。
千鳥屋さんの千鳥まんじゅうは、白あん入りの焼き菓子。まんじゅうの上部に千鳥の焼き印が押されています。素朴な美味しさ。
合わせて、千鳥屋さんと言えばチロリアンもお馴染み。甘いクリームの入った、サクサク食感の焼き菓子です。
機会があったら、ぜひ食べてみてください。