【工芸の旅】琉球漆器をたずねて

お茶を習い始めてから興味を持ったのが、日本の工芸品

日本各地に様々な工芸品があり、和菓子も全国各地にありますが、その多様性は和菓子以上

こんなにも豊かな工芸品の数々、もっと知りたい・学びたいと思い、昨年から機会を見つけて製作体験に参加してきました。

今年は工芸品(特に漆器)の産地を訪ねるのが目標。なるべくお金と時間をかけずに、出かけたいと思います!


工芸を訪ねて・琉球漆器編

第1弾は琉球漆器の沖縄へ。

琉球漆器と言えば鮮やかな朱漆が特徴。まるで沖縄の明るい日差しのような色合いです。

そして模様や柄も鮮やかな発色が多く、その色は沖縄の環境でしか出せないとか

そもそも沖縄で漆器作りが盛んなのは、その気候にあります。漆を乾燥させるには湿度と温度が必要。比較的湿度の高い沖縄は、漆作りに最適な環境なのです

角萬漆器さんの琉球漆器

他の漆器に比べ、実際に目にする機会の少ない琉球漆器。ネットで情報は検索できますが、手に取って見てみたいと思ったのが沖縄を訪ねた理由です。

漆器は学び始めたばかりなので、今回は初歩の初歩

「琉球漆器とは何か?」を知る半日旅を実行しました。


①琉球漆器とは?

漆器は産地や作り方で名前が付けられています。産地で有名なのが山中や越前、会津、津軽塗など。作り方で有名なのが輪島や春慶、根来塗などです。

琉球漆器は沖縄で作られる漆器のこと

歴史を遡ると13~14世紀頃にはあったそうで、中国から技法が伝わりました。

琉球王朝時代は組織的に作られ、中国や江戸幕府にも朝貢。漆器の柄も中国風なものが多くあったそうで、

明治以降は民間で作られるようになりました

②琉球漆器の特徴

特徴は色だけでなく、独特の加飾にもあります。

漆器の加飾といえば、蒔絵や沈金、螺鈿など。沖縄には独自の堆錦(ついきん)があります。

堆錦は漆と顔料を合わせ粘土のようなものを作り、絵柄に合わせて切り抜き、器などに張り付けます。やや厚みがあり、立体的表現が特徴。

浦添市美術館の堆錦の展示

堆錦ができるのもじつは沖縄だからこそで、厚みのある堆錦でも湿度の高い沖縄なら乾くので、他ではできない技法だそうです

また螺鈿も盛ん。沖縄で採取される夜光貝を削り、美しい模様が作られています

③琉球漆器を知るなら、おすすめの3か所

以上、琉球漆器の概略のご説明ですが、ここからは琉球漆器訪問記です

今回は3か所を訪れました

1.浦添市美術館

最初に訪れたのが浦添市美術館。

琉球漆器の常設展があり、漆器の基礎知識を学べます。

展示は古い時代のものから現代まで、琉球のみならず他の漆器もありました。

鮮やかな朱漆に螺鈿細工のお盆
東道盆(琉球の伝統料理を盛り付ける蓋つきの器)

漆器の展示のみならず、歴史や加飾技法、漆についても詳しく紹介

漆器について知らなくても、ひと通り展示を見ると琉球漆器を理解できますよ。私も浅い知識で行きましたが、浦添市美術館を訪れて随分と理解が深まりました。

螺鈿の説明。貝の削り方が紹介されています

<アクセス>

那覇の中心部からはバスで40分ほど。浅野浦バス停下車、徒歩7分ほどです

もしくはゆいレールの浦添前田駅から徒歩約25分です(実際に歩いてみましたが、涼しい季節なら大丈夫。夏日は無理)

2.角萬漆器

美術館で琉球漆器について学んだあとは、漆器店を訪問。首里にある琉球漆器の老舗「角萬漆器」さんを訪ねました。

店内はおしゃれで落ち着いた雰囲気のギャラリー

お皿やお椀、箸をはじめ、お盆、茶器、アクセサリー類などが販売されています

色も定番の朱色や黒色だけでなく、マットで落ち着いた色の漆器もあり、どれも素敵なものばかりでした。

店内には6席のカフェスペースがあり、角萬漆器さんの漆器でお茶とお菓子がいただけます。購入する前に使用感などを体感できるのはうれしいですね

実際にカフェでお茶しましたが、漆器の口当たりの優しさに感動しました。

カフェのカウンター席からは遠くに海が見えて、晴れた日は島(名前を忘れました…)も見えるとのこと。最高のロケーションで沖縄の風を感じながら、漆器とお茶を楽しめる角萬漆器さん。ぜひ訪ねてみてください

<アクセス>

ゆいレールの首里駅から徒歩20分ほど。夏日に歩くのはちょっと辛いかも…

3.那覇の伝統工芸館で堆錦体験

最後は琉球漆器作り体験がおすすめ。那覇の伝統工芸館で「堆錦」を体験できます

内容はコースターに堆錦で絵柄をつけるもの。曜日によって絵柄は変わるそうですが、私が参加した日は干支。辰の絵柄をセレクトしました。

最初に漆と顔料を合わせた「堆錦もち」に下絵を写します

堆錦もちをカッターで切り抜き、金や銀粉で色付けして、最後にコースターに貼り付けて完成。

文章で書くと簡単そうですが、実際には細かい作業なので1時間半ほどかかりました。

絵柄を切り抜いた跡の堆錦もち
辰の絵柄
コースターに貼り付けました

実際の完成は1か月後。時間をかけて乾かすことで堆錦が固まり、ようやく完成となります。今は自宅で乾かし中。

体験の面白いところは、職人の方とじかにお話しができるところ。今回も堆錦作業を行いながら、根ほり葉ほりお話を伺いました。

もともとサラリーマンだったのが、絵が好きで琉球漆器の世界に入ったとのこと。作品を作りながら、伝統工芸館のお手伝いをされているそうで、なんと漆器の木地も自作!

デイゴやがじゅまる、黒檀などを使って木地を作り、漆も塗って、加飾まで全工程を1人で仕上げているそうです

沖縄の素材を使いながらの漆器作りなんて素敵ですね。

あっという間の1時間半。琉球漆器を知るなら体験もおすすめです

<アクセス>

ゆいレールの美栄橋駅から徒歩7分です

 

以上、琉球漆器を知る半日旅のご紹介でした。


今回は時間も予算も限りがあったので、那覇のみの訪問となりました。

漆器工房は各地にあるので、次回は足を延ばして訪ねてみたいと思います。

沖縄の環境だからこそ生まれた琉球漆器

最後に訪れた「うちなー茶屋ぶくぶく」さんで、琉球漆器に盛り付けたスイーツをいただきました

漆器でいただく甘味は美味しいですねー